マーケティングの世界では、O2Oやオムニチャネルはすでに欠かせない存在になっています。そして、現在はそこから一歩進めたOMOというマーケティング手法にも注目が集まっています。OMOは、スマートフォンが普及した結果、いつでもネットに接続できる社会になったからこそ生まれた新しい施策です。ここではO2O、OMO、オムニチャネルの3つの違いに着目しながら、実際のマーケティングに活用できる情報や事例などを紹介します。
O2Oとは?
まずはO2Oとはどのようなものなのか、その概要や特徴、メリットなどについて見ていきましょう。
O2Oの概要
O2Oとは「Online to Offline」の略称です。ひと言でいえば「インターネット上のWebサイトから実際の店舗に消費者を誘導するための施策」のことです。インターネット上(オンライン)から実際の店舗(オフライン)に誘導するので「Online to Offline」というわけです。似た概念のマーケティング手法にOMOがありますが、こちらはオンラインとオフラインを融合させる施策であるため、オンラインとオフラインを分けて考えるO2Oとは違う概念です。
O2Oの具体的手法
O2Oのマーケティング手法として、例えば、通販サイトにアクセスした消費者に対して実店舗で使えるクーポンを発行する方法があります。ほかにもスマートフォンのGPS機能で取得した消費者の位置情報をもとにして、その近隣店舗で行っている自社のセール情報をプッシュ通知で知らせるといったこともできます。これらの施策により、オンライン上からオフラインへと消費者を誘導できるわけです。
O2Oを導入するメリット
O2Oを導入した企業にもたらされるメリットは、まず新規顧客を獲得しやすいという点です。実店舗に消費者を集めたい場合、Webサイトを使ってオンライン広告を出すことで、商品に興味がある多くの人に情報を提供でき、消費者や潜在顧客などにも訴求できるため、新規顧客を獲得しやすいのです。
また、オンライン広告は比較的早く情報を発信できるため、オンラインクーポンを発行した場合は販売戦略の即効性も期待できます。さらに、オンラインで発行したクーポンは利用数を調べることができるので、効果測定も容易です。
O2Oのマーケティング事例
O2Oの成功事例は世界中に数多くありますが、スウェーデンの小規模工具店「マルメハードウェアストア(Malmö Hardware Store)」の事例を見てみましょう。同社は大手のホームセンターと差別化したいと考えて、金づちやノコギリなどの専門工具を無料で貸し出す「ToolPool」というプロモーションを行いました。消費者はFacebookで「ToolPool」に申し込み、店頭で工具を受け取ります。
以前は売り上げの大半を消耗品が占めていたのですが、この施策を始めてからは、それまで売り上げの低かった専門工具が「レンタル」という形で有効活用され、「ToolPool」開始後わずか1ヵ月で売り上げは25%向上しました。
OMOとは?
OMOはO2Oとどのような点が異なるのか、ここではOMOの概要について解説していきます。
OMOの概要
OMO、O2O、オムニチャネルの3つは、いずれも現代のマーケティングにおいて欠かせない考え方です。そのなかでもOMOは、O2Oやオムニチャネルを一歩進めた新しいマーケティング手法であり、オンラインとオフラインを融合させ、顧客情報を一元管理して考えるところが大きな特徴です。
OMOについて詳しくは「OMOとは?マーケティングに欠かせない基礎知識と活用事例」をご覧ください。
OMOとO2Oの違い
O2Oは実店舗、つまりオフラインでの購買を促進する目的でオンラインを活用するため、オンラインとオフラインを明確に線引きした考え方です。これに対してOMOは、オンラインとオフラインを融合させながら、消費者の購買意欲をアップさせたり、カタログ閲覧をはじめとしたさまざまな体験を提供したりすることを目的にしています。
つまり、OMOは「オンラインとオフラインを区別しない」という点と、「購買を促進するだけでなく、消費者の利便性も追求している」という2つの点において、O2Oとは違いがあるのです。
OMOのマーケティング事例
OMOを活用して成功した事例としては、中国の大手保険会社である平安保険(PING AN)のケースがあります。平安保険は中国で最も大きな保険グループのひとつで、アプリを活用したOMOを積極的に推進しています。
特に有名な施策は、アプリで質の高い医療を提供している医療機関を調べて予約までできるというもの。中国では医療機関の質にばらつきが大きいので、とても有効な施策です。このアプリは平安保険の顧客以外も利用することができ、医師にチャットで相談することも可能です。ユーザーにとってはとても便利ですし、アプリで得たユーザーの情報をもとに販売促進ができるため、平安保険にとってもメリットが大きいでしょう。
オムニチャネルと何が違う?
O2OやOMOと混同されやすいマーケティング手法に、オムニチャネルがあります。このオムニチャネルについても解説しておきましょう。
オムニチャネルとは
オムニチャネルは、オンラインとオフラインのすべてのチャネルを分け隔てせず、連携させることによって消費者との接点を作る仕組みです。例えば、通販サイトでためたポイントを実店舗でも利用できるようにしたり、通販サイトで購入した商品を自宅の近所の店舗で受け取れるようにしたりする施策があります。
O2OやOMOとの違いは?
オムニチャネルはO2OやOMOと何が違うのでしょうか。まず、O2Oはオンラインとオフラインを完全に分けて考えるマーケティング施策です。OMOはオンラインとオフラインを融合させる施策。そして、オムニチャネルはオンラインとオフラインのすべてのチャネルを連携させる施策です。どれも似ているところがありますが、明確な違いがあることも覚えておきましょう。
オムニチャネルのマーケティング事例
オムニチャネルの成功事例としては、イオングループがあります。イオンではスマートフォンアプリを活用したオムニチャネルを推進しています。このアプリの特徴は、売り場にある商品チラシや商品POPなどをアプリに読み込ませることによって、その商品を使ったレシピが提案されるところです。
このアプリによって実店舗への誘導と、レシピに必要な別の食品の購入につなげているのです。ほかにもイオンには、実店舗に設置されたタブレットを操作するだけで、取り扱いのない商品の取り寄せや配送、支払いができる仕組みもあります。
今後の流れはどうなる?
「オンラインとオフラインが作用し合って購入を促す」という意味で、O2OとOMOは共通しています。またOMOとオムニチャネルは、「複数のチャネルを活用して消費者との接点を増やす」という意味で共通しています。O2Oとオムニチャネルをベースにして、さらに発展させたものがOMOだと言えるでしょう。
現在はオンラインとオフラインの境界がなくなり、世界的にOMO化が加速しています。アフターコロナやウィズコロナの時代においても、おそらくOMOを推進していく流れは変わらないでしょう。ただし、OMOでは顧客の個人情報を一元管理するため、これまで以上に厳重なセキュリティが求められます。
今後はOMOが主流になる
今回取り上げた3つのマーケティング手法の概念をまとめると、「O2Oはオンラインとオフラインを切り分ける」「OMOはオンラインとオフラインを融合させる」「オムニチャネルはすべてのチャネルを連携させる」ということです。そして、O2Oとオムニチャネルの考え方を、デジタル化の流れに合わせて発展させたものがOMOですから、今後もマーケティングの世界ではOMO化の流れが続いていくと考えられます。
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