
子どもやファミリー層向けのプロモーションにおいて、YouTubeやSNSによる訴求はもはや「当たり前」の時代になっています。しかし、あふれる情報量によって子どもや保護者の「スルー・スキル」も高まり、多くの企業が「認知は取れているはずなのに、購買や来店に繋がらない」「Web広告のCPAが年々悪化している」という壁に直面しているのではないでしょうか。
2026年、ファミリー層を動かす鍵は認知の先にある「体験の質」と、多忙な親が納得できる「教育的価値の提示」にあると考えられます。本記事では、子どもや保護者の行動傾向から今後のプロモーション戦略を紐解きます。
※本記事では「子ども」を2010年以降に生まれたα世代、「親」を1980年代から2000年代初頭生まれのミレニアル・Z世代と定義して解説を進めます。

- 子育て世代の行動はどう変わる?2026年の市場予測
- 2026年のファミリー層マーケティングで重視すべき3つの要素
- ファミリー層マーケティング 成功事例
- プロモーション計画で守るべき「信頼」の基準
- まとめ|子どもとタイパ重視の親が動く設計とは
- 記憶に残り、信頼を育てる「応援ノート」
子育て世代の行動はどう変わる?2026年の市場予測
子ども(α世代)と親世代(ミレニアル・Z世代)の行動は、より「能動的」で「選別的」になっています。
【子ども】動画は「見る」から「入り込む」へ
子どもたちの間では、YouTubeや従来のゲームはもちろん、『Roblox』や『Fortnite』などの仮想空間も子どもの生活圏となっています。こうした自らアバターを操作する空間では、一方的な動画広告は「遊びを遮るストレス(ノイズ)」になりやすいため、以下の視点が重要です。
「広告」を「遊びのインフラ」に変える:
企業が仮想空間内にブランド特製の広場を作り、マナーを守って遊ぶと限定アイテムがもらえるといった施策は「広告を見せる」のではなく、「遊びを楽しくする仕掛け」として機能します。
デジタルを「リアルな体験」のスタート地点にする:
広告の後に「続きを工作する」「家で宝探しをする」といった現実の行動へ誘導します。デジタルを「家族の会話や体験を増やすためのきっかけ」にすることで、子どもと保護者のポジティブな評価を獲得します。
【揺り戻し】デジタル疲れが生む、アナログ体験の再評価
デジタルネイティブなα世代の間では、平成初期に流行った「シール手帳」が再燃しています。また、子どもだけでなく、かつて「平成女児」だった親たちが懐かしさから参加し、親子でシールを交換する光景も増えています。画面内でのやり取りが日常となった親子にとって、対面で実物をやり取りするアナログ体験は、新鮮かつ情緒的なコミュニケーションとして映っています。この傾向から、デジタル広告を軸としつつも、「手元に残るモノ」を組み合わせることで、「特別な思い出」として、より深いファン形成を実現することが可能になります。
【親世代】「タイパ」と「教育リターン」を同時に求める意思決定
保護者の意思決定においては、時間対効果(タイパ)の追求や教育リターンへの期待がこれまで以上に高まっています。株式会社ヴァリューズの調査では、仕事と育児を両立させる30代女性の58.2%が「タイパ」を重視しています。多忙な日々の中で、比較検討に時間を割くことが難しいため、「一目で価値がわかるもの」を即座に選び、価値が不明確なものは検討対象から外されやすくなることが想定されます。ただし、子どもの将来に関わる教育資金への支出意欲は依然として高い水準にあり、忙しい日々に追われながらも、とりわけ以下のような分野への支出は優先される傾向にあります。
- 英語学習やプログラミング教育
- 創造性を養うSTEAM教育
- 社会の仕組みを学べる体験型学習
これらのことから、2026年のファミリー層マーケティングでは、タイパを意識した「直感的な分かりやすさ」を担保しつつ、「子どもの未来にどう寄与するか」という教育的な納得感を提示することが、保護者の意思決定を後押しする有効なアプローチになると考えられます。
出典:
・「タイパ」実態に関する共同研究調査|株式会社ヴァリューズ(2023年4月)
・子どもの教育資金に関する調査2024|ソニー生命保険株式会社(2024年3月)
2026年のファミリー層マーケティングで重視すべき3つの要素
最新の市場予測を踏まえ、これからのプロモーション設計において鍵を握る要素を3つご紹介します。
1. 「ゲーミング」と「ショート動画」を取り入れる
TikTokに代表されるショート動画のリズム感と、ネットミーム(流行の遊び)を掛け合わせたクリエイティブは、依然として強い拡散力を持っています。一方的に商品やサービスを訴求する広告ではなく、クイズや攻略ヒントといった「コンテンツとして楽しめる要素」を組み込むことで、会話が生まれやすくなります。こうした設計が、子どもたちのコミュニティ内で自然に浸透していく鍵となります。
2. 親子の会話を生む「クロスジェネレーション」の仕掛け
90年代・2000年代のカラフルな色使いやシール遊びなど、親世代が「自分もやっていた」と感じられる要素を、現代風にアレンジして取り入れる手法も有効です。親が自身の原体験を「これ、お母さんも好きだったんだよ」と子どもと会話し一緒に楽しむ時間は、家族にとって特別な共有体験になります。このとき、保護者は商品に対してすでに一定の理解や安心感を持っているため、「一から安全性を調べる」といった手間が省かれ、「自分が好きだったものを、わが子にも」という納得感をもって判断しやすくなります。こうした親子の会話がブランドへの信頼を育むことへとつながります。
3.「わが子に与えたい」と思わせる教育要素
プロモーションそのものに「知育のヒント」や「社会への気づき」といった付加価値を持たせることで、親の納得感を高めることができます。商品やサービスの魅力を一方的に伝えるのではなく、それが子どもの成長にどう貢献するのかを、保護者の視点に立って提示することが、購買や参加の判断を後押しする重要なポイントとなります。
「遊び」を「価値ある体験」へと変換する視点が、、タイパと質の両方を重視する現代のファミリー層には、より深く響くアプローチとなります。
ファミリー層マーケティング 成功事例
実際に成果を上げている企業の代表的な事例をご紹介します。
NIKE:デジタルを「リアルの運動」へ繋げる体験
NIKEは、メタバース空間「Roblox」内に、スポーツをテーマにした仮想空間「NIKELAND」を構築しました。この空間は、単なるゲーム体験にとどまらず、スマートフォンのセンサーを活用し、「現実で走る・跳ぶ」といった身体の動きをアバターと連動させています。
子どもにとっては、遊びの延長として自然に体を動かせるゲーム体験となり、運動への心理的ハードルが下がります。また、保護者にとっては「楽しみながら子どもの健康を支えられる」という価値が提示されることで、ゲームにに対する不安が和らぎ、ブランドへの信頼やサービス利用を検討するきっかけとなっています。
日本マクドナルド:親子の共有体験を創出
日本マクドナルドは、ハッピーセットにおいて、親世代が幼少期に親しんだ玩具を復刻・進化させる施策を展開しました。親自身が「見覚えがある」「懐かしい」と感じるキャラクターや玩具を通じて、「お母さん/お父さんも、これで遊んでいたんだよ」といった会話が食事の時間に自然と生まれます。
その結果、食事の場が思い出を共有する時間へと変わり、玩具を受け取る体験そのものが来店理由になるなど、リピート来店やブランドへの親近感を高める価値提供につながっています。
GU:買い物を「自立を育む学び」の時間へ
GUの「MY FIRST OUTFIT」は、子どもが店員のサポートを受けながら、一人で服を選ぶ体験型の施策です。子どもは「自分で決めた」という自信や、お兄さん・お姉さんになったような成長実感を味わうことができます。保護者は、あえて一歩引いて見守ることで、普段は気づきにくい子どもの判断力や主体性といったを変化を実感できます。何気ない「買い物の時間」を「子どもの成長が感じられる時間」へ変えることで、来店や子ども服の購買に自然につながる設計がなされています。
ファミリー層マーケティングで守るべき2つの「信頼」の基準
情報があふれる時代の中で選ばれ続けるためには、「信頼」を積み重ねていく姿勢が欠かせません。特に、子どもやファミリー層を対象としたプロモーションでは、短期的な成果以上に安心して接触できるかどうかが判断基準となります。その土台となるのが、以下の2つの視点です。
デジタル・コンプライアンスの遵守:
COPPA(児童オンラインプライバシー保護法)をはじめとする法令や関連ガイドラインを遵守することは、ファミリー層向け施策における前提条件です。そのうえで重要になるのが、「どのような情報を、何の目的で取得・利用しているのか」を、保護者にも理解できる形で明示することです。透明性を高めることで、「安心して子どもに触れさせられるブランドである」という認識が育まれ、ブランドセーフティの強化につながります。
「誰から届くか」という接点の質:
デジタル広告が飛び交う環境では、情報の内容以前に、「その情報が誰を介して届くのか」が重視される傾向があります。
学校や公共施設など、社会的に信頼性の高い機関を通じた案内は、保護者にとって受け取りやすく、内容への理解や納得感が得られやすいと考えられます。「接点」そのものの信頼度を高めることも、メッセージの受容性を左右する重要な要素であり、ファミリー層向けプロモーションの成否を分けるポイントの一つです。
まとめ|子どもとタイパ重視の親が動く設計とは
タイパを重視する現代の保護者は、「自分や子どもにとって価値がない」と判断した情報や選択肢を、素早く検討対象から外す傾向が強まっていると考えられます。だからこそ、購買や参加の判断において、どこで迷い、何を基準に決めるのかを先回りして設計しておくことが重要です。
その際に、単なる利便性や価格訴求だけでなく、「子どもにとって意味のある実体験であること」、「楽しさの中に学びがあること」という2つの要素が揃うことで、保護者は限られた時間の中でも納得感を持って判断しやすくなります。
子どもが前向きに関わり、保護者も「それならやらせたい」と自然に感じられる設計こそが、タイパを重視する親世代の行動を動かすための重要な鍵となります。
記憶に残り、信頼を育てる「応援ノート」
こうしたマーケティング課題に対する一つの打開策として、「応援ノート」という選択肢があります。
「ノートを受け取る」体験と、「書き込んで使い続ける」行動を通じて、子どもの記憶に残りやすい接点を生み出すのが、応援ノートの特長です。また、学校という信頼性の高い場所を通じて届けられるため、保護者にとっても信頼できる接点となります。「応援ノート」を活用した具体的な設計例や導入事例を資料にまとめています。ご関心のある方は、ぜひご確認ください。


