今、ブランドに求められるのは「語られる設計」
かつてのブランド戦略は、TVCMや新聞広告といったマスメディアを通じて、企業が一方的にメッセージを届けるものでした。著名人の起用や大規模な広告出稿によって「認知」を勝ち取る戦略が主流でしたが、現在では、その構造自体が大きく変わりつつあります。
SNSの普及により、消費者は受け手ではなく「発信者」へと変化しました。生活者が日常的に投稿するSNS上のコンテンツ=UGCが、人々の共感や行動の起点となる時代となっています。こうした変化の中で、今日のブランドに必要とされるのは「語られる設計」です。企業が発する広告だけでなく、「生活者が自発的にその価値を語りたくなるような仕組み」をつくることがブランドの信頼を育て、持続的な認知とロイヤルティをもたらすのです。
そして、その「語られ方」は偶然や運任せにしてはいけません。本記事では、UGCやSNSを活用し、ブランドが「自ら語られる存在」になるためのバイラルマーケティングの設計について解説します。

目次
バイラルマーケティングとは何か?
バイラルマーケティングとは、企業が仕掛けたコンテンツや体験が、生活者の手によって「自発的に」かつ「連鎖的に広がっていくように設計されたマーケティング手法です。この拡散は、偶発的な現象だけではなく、適切に設計されたコンテンツや仕掛けを通じて、拡散を狙う計画的な戦略が混在しています。
「バズ」との違い:一過性ではなく、持続性のある拡散
バズは「一瞬の注目」を集める現象です。奇抜さや話題性によって短期的に拡散されるものの、その多くは時間の経過とともに忘れられてしまいます。 一方、バイラルは、生活者が自ら語りたくなるような意味のある拡散を促し、ブランドとの関係性を深めていく構造です。その結果、UGCが絶えず生まれ、ブランドとのつながりが強化されていきます。
SNS時代の中心概念「語られるブランド」
SNSが普及した現在、生活者はただ情報を受け取るだけではなく、自分の感じたことを評価し、誰かに伝える側にもなっています。
ブランドの価値も、企業が一方的に伝えるのではなく、人々の共感や参加によって自然と語られていく時代へとシフトしました。
こうした流れを考えると、バイラルマーケティングは今の時代に合ったブランドづくりの中心となる考え方と言えます。
これからのブランドは、「選ばれること」だけでなく、「人に語られること」が成長の鍵になります。
バイラルを構成する3つのエンジン:UGC・口コミ・バズ
バイラルマーケティングの基本的な定義を理解したところで、次に重要なのは「どうやってバイラルが生まれるのか」というメカニズムです。ここでは、SNS時代に欠かせない3つのエンジンについて解説します。
UGC:共感と共創を生む生活者の「素材力」
UGCは、ユーザーが自発的に発信するコンテンツであり、その魅力は「リアルさ」と「親しみ」にあります。企業がどれだけ完成度の高い広告を作っても、「生活者の言葉」には敵いません。SNS投稿、レビュー、手描きのイラスト、動画、体験談などは同じ立場の消費者による「信頼できる声」として、多くの人に響きます。
UGCに関する詳しい記事はこちらでもご紹介しています。あわせてご参照ください。
注目のUGCとは? 広告やマーケティングに必須の戦略について
口コミ:信頼を乗せて届けられる「伝播ルート」
口コミは、UGCを人から人へ伝える流通チャネルです。知人や家族、フォロワーといった「信頼関係のあるつながり」の中で共有される情報は、他のどんな広告よりも信頼されやすくなります。 つまり、バイラルは「共感される内容(UGC)」と「信頼される伝達経路(口コミ)」がセットで機能することで、初めて広がるのです。
バズ:初速を生む「起爆装置」
UGCと口コミが長期的な拡散を支える一方、話題を一気に加速させるのが「バズ」の役割です。その燃料として、強い感情刺激や驚きのある要素が必要です。 例えば、「〇〇診断」や「衝撃のビフォーアフター」などは、短期間で大量の反応を集める力を持ちます。
これら3つは、どれか1つだけに依存しても効果は限定的です。バズが火種となり、UGCが語られる素材を増やし、口コミがそれを信頼の輪で広げていく、というように、それぞれの役割を理解しながら連携させることで、初速・広がり・持続性のすべてを備えたバイラルマーケティングが成立します。
マーケターとして求められるのは、この「拡散の3エンジン」を構造的に設計し、ブランドにとって意味のある「語られ方」へと導くことです。
バイラルは設計できる:戦略的に仕掛ける5つの視点
ここからは、前述の3つのエンジンの設計に必要な5つの視点を紹介します。
誰が最初に語るのか?
発信者の選定は、バイラル成功の鍵です。以下の3点を軸に戦略的に設計します。
- 共感性:フォロワーとの距離が近く、自分の言葉で語れる人か?
- 発信力:SNSでの影響力やエンゲージメント率は?
- 身近さ:フォロワーにとって親しみのある存在か?
企業のアンバサダーにフォロワー数が多いマイクロインフルエンサーを起用するのは、このような要素を備えているからです。
何をきっかけに語りたくなるのか?
語りたくなるには感情のトリガーが必要です。以下のようなトリガーを設計段階でどれだけ織り込めるかがポイントです。
- 驚き:意外性や感動
- 共感:自分の経験と重なるストーリー
- 参加性:誰かと共有したくなる仕掛け(例:診断結果)
- 自己表現:自分の価値観を投影できる余白
どう拡散されるのか?
拡散導線の設計は以下の通りです。「語りたくなる」感情のトリガーを引いた後に、実際に行動に移してもらえるよう「語りやすく設計する」ことも重要です。
- ハッシュタグ:発見性・検索性を高める
- 投稿テンプレート:投稿のハードルを下げる
- 二次創作余地:ユーザーが自分なりにアレンジできる空白をつくる
どこで火がつくのか?
以下は、バイラルの火種を落とす場所として有力です。起点を見極め、拡散を仕掛けることが求められます。
- トリガーメディア:note、TikTokなど、話題化しやすい媒体
- トリガーコミュニティ:育児層、Z世代、サブカル好きなど、共通文脈を持つ集団
ブランド体験への接続は?
バイラルのゴールは単なる”話題化”ではなく、最終的に行動してもらうことにあります。そのためには、語られた後に”行動”につなげる導線が不可欠です。
- 指名検索される構造:投稿内で自然にブランド名を刷り込む
- 購買への動線設計:ECやLPへのリンク、クーポンなどの導入
- ブランド文脈の一致:拡散内容がブランドの世界観とズレていないか
例えば、花王の「#ヘアモン自由研究」投稿キャンペーンでは、X(旧Twitter)からユーザーが対象商品の自由な使い方を募集するキャンペーンを行いました。また、投稿者の中から抽選でプレゼントがもらえるといった参加メリットを提示し、募集期間中はUGCが発生する仕組みを整えました。このように「誰が語るか」「何を語りたくなるか」「どう拡散されるか」を設計することで、生活者による語られ方を導いています。
よくある誤解とバイラルが失敗する理由
バイラルマーケティングは「うまくいけば一気に広がる」魅力的な手法ですが、誤解や設計不足によって、思うように機能しないケースも少なくありません。ここでは、バイラル施策が陥りがちな3つの落とし穴を整理しながら、成功への設計視点をより明確にしていきます。
話題になればOK、ではない
面白い投稿がバズっても、「あれ、どこのブランドだっけ?」となってしまっては意味がありません。最終的な目的は語られることではなく、「選ばれる」ことです。
また、「選ばれる」までに以下のような複合的な指標を設けておくことで、、より実効性の高いKPI設計が可能になります。
- UGC数:指定ハッシュタグによる投稿数
- シェア率:投稿に対するシェアや引用RTの比率
- ポジティブ反応率:いいね・コメントのうち肯定的な反応の割合
- 一次/二次拡散比率:影響力のある発信者と一般生活者の比率
- ブランド名の自然言及率:UGCにおいてブランド名が自然に登場する割合
- サイト流入・購買への波及率:SNS拡散からEC・問い合わせなどへの転換
UGCを集めただけでは広がらない
UGCが存在していても、拡散導線が設計されていなければ広まりません。ストーリーの共有設計や投稿テンプレート、ハッシュタグ設計が欠けていると、内輪の盛り上がりで終わってしまいます。
拡散の「起点設計」と「接続設計」が抜けると点で終わる
語られ始める起点と、ブランド体験への接続。この2つの設計がなければ、「話題になったけど、その先がない」「誰も語り始めない」といった形で線として繋がりません。
語られるブランドは、設計によってつくられる
以上のことから、ブランドが「語られるかどうか」は偶然の産物ではなく、狙ってつくれる時代です。 ただ話題をつくるのではなく、共感され、自然と共有され、ブランドの価値として蓄積されていく、 そんな「語られ方」を戦略や設計に落とし込むことが、これからのブランドづくりに欠かせません。
語られる準備、できていますか?
子どもや保護者が「自分ごと」として自然に語るブランド体験は、企業側がUGCや口コミの「種」を生活者の文脈に寄り添って届けることから始まります。
私たち株式会社スフレでは、この「語られ方の設計」を、「応援ノート」という企業広告入りの学習ノートを配布することで支援しています。学習ノートとして配布することで、子どもたちの学びの場に自然に入り込み、家庭でも目にされることで、親子の会話やSNSでの共有といったUGCや口コミを自然に生み出します。単なる広告ではなく、子どもたちの「学習応援」として届くため、共感されやすく、ブランドへのポジティブな語られ方を設計することができます。
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