「SNSのフォロワー数は伸びているのに、売上にはつながっていない…」「“映える”コンテンツは作れても、“買いたくなる”には届いていない気がする…」そんな違和感を抱えながら、日々のマーケティング施策を試行錯誤している担当者の方も多いのではないでしょうか?
SNSが当たり前になった今、成果を出すために求められているのがバイラルマーケティング です。偶然の拡散を待つのではなく、感情と拡散の構造を設計することで成果を最大化する 戦略が、次世代のSNS活用における本質と言えるでしょう。
本記事では、実際に成果を上げた バイラルマーケティング成功事例7選 を紹介しつつ、再現性のあるヒントをご紹介します。
目次
- SNSで成果が出ない理由とバイラルマーケティングが注目される背景
- バイラルマーケティングの概要
- バイラルマーケティングの成功事例7選
- なぜ成功したのか?共通点から見る「バイラルの設計図」
- 「成果の掛け算」で施策効果を判断
- まとめ|バイラルマーケティングを成果につなげるために
- 若年層にバイラル施策で成果を出すには?
SNSで成果が出ない理由とバイラルマーケティングが注目される背景
SNSで思うように成果が出ない最大の理由は、内容投稿が下記のいずれかに当てはまり、情報を“届けるだけで終わってしまっている”からです。
- 誰に届けるのか曖昧 → 共感・拡散が生まれない
- 情報が“商品紹介”で終わってしまう → 感情が動かない
- 双方向の仕掛けがない → 参加型にならず話題が生まれない
このようなエンゲージメント不足や設計不足を解消するために、今企業が取り入れるべきなのが「偶然ではなく仕組まれた広がり」で成果を出すバイラルマーケティングなのです。次章からは、バイラルマーケティングの基本をおさらいしていきます。
バイラルマーケティングの概要
バイラルマーケティングとは?
バイラルマーケティング とは、企業が仕掛けたコンテンツや体験が 生活者の手によって自発的に拡散される ように設計されたマーケティング手法です。企業側が意図的に仕掛けた内容が、口コミやSNSを通じて連鎖的に拡散されることで、大きな広がりを生みます。単なる「広告」ではなく、 “自分が広めたくなる”仕組み が重要なポイントです。
バイラルマーケティングの概要については下記の記事で詳しくご紹介しているので、合わせて参照ください。
メリット
バイラルマーケティングの最大の魅力は、広告費を抑えながら大きな拡散効果が期待できる点です。消費者自身が発信者となることで、企業が直接伝えるよりも信頼性が高まり、受け手に届きやすくなります。そのため、ブランドの認知度が向上するだけでなく、好感度も同時に高まる傾向があります。また、生活者の共感や感情に訴えるため、単なる宣伝とは違った自然な形で情報が広がることも特徴です。結果として、より強いファン層の形成や長期的な顧客関係構築に寄与します。
注意点
一方で注意しなければならないのは、過度な演出や誤解を招く表現が逆効果になるリスクです。消費者が主体的に情報を発信するため、企業側の意図と異なる形で拡散されることもあります。
また、企業発信と生活者発信の境界が曖昧なため、炎上やネガティブな拡散が起こる可能性が常に隣り合わせです。こうしたリスクを最小限に抑えるためには、情報発信前の慎重な設計と、事前のリスクヘッジが欠かせません。具体的には、以下のようなポイントに気をつける必要があります。
- 消費者に不信感を与えない自然な表現を使う
- 企業色が強すぎないコンテンツ設計
- ネガティブな反応に対する迅速かつ誠実な対応体制の構築
バイラルマーケティングの成功事例7選
ここからは、実際にバイラルマーケティングで成功した企業事例を紹介します。
【食品】ロッテ|Fit’sダンスで若年層UGCを獲得
若年層の“ガム離れ”に課題を感じていたロッテは、商品「Fit’s」の認知拡大を目的に「Fit’sダンスコンテスト」を実施しました。YouTube上では人気タレントを起用し、オリジナルのダンスを披露しています。視聴者に「踊ってみた」動画の投稿を促すUGC施策として展開しました。
結果として、「総再生回数約2,100万回」、「投稿されたユーザー動画1,732本」を記録しました。楽しみながら参加できる設計が功を奏し、若年層を中心に広く拡散されたことで商品認知だけでなく購買促進にもつながる成功事例となりました。
【食品】明治|「きのこたけのこ国民大調査」キャンペーン
長年続く「きのこの山」と「たけのこの里」の“派閥論争”を逆手に取ったのが、明治による「きのこたけのこ国民大調査」です。Twitterを中心に展開し、「どっち派か?」を投稿してもらい 抽選でプレゼント、という参加型キャンペーン形式で実施しています。
この施策はSNSの「対立構造」と親和性が高く、数万件のリツイート・コメントが寄せられています。遊び心と参加ハードルの低さが功を奏し、ファンの熱量を商品認知・購買促進に昇華させました。
【飲料】キリンビール|Instagram活用による若年層との接点創出
キリンビールは、若年層とのコミュニケーション強化を目的に公式Instagramアカウントを開設しました。特徴的なのは、「消費者目線の写真を収集し、活用する」という方針です。実際に投稿されたユーザー写真を参考にコンテンツ制作を行い、それをフィード投稿で展開した結果、平均135%の高エンゲージメント率(いいね、シェア、コメント)を記録しました。
企業発信だけでは得られないリアルな消費シーンを取り込むことで、生活者の共感を呼び、SNSならではの「親しみ」を創出しています。
【化粧品】ユニリーバ|「ダヴ:リアルビューティー スケッチ」で世界的話題に
ユニリーバは、スキンケアブランド「ダヴ」のプロモーションとして「リアルビューティー スケッチ」という動画コンテンツを制作しました。この動画では、FBIの元似顔絵捜査官が登場し、同一人物について、「1枚目:本人の自己認識による描写」「2枚目:第三者による描写」で2枚の似顔絵を描きました。その結果、第三者による描写の方が美しく事実に近かったというメッセージが込められています。「あなたは自分が思っているより美しい」というシンプルで力強いテーマが共感を呼び、公開からわずか12日で5,000万回再生という驚異的な数字を達成しました。
【家庭用品】パンパース|「MOM’S 1ST BIRTHDAY」動画
パンパースは、「赤ちゃんの1歳の誕生日=母親の1歳」と捉えた感動系動画「MOM’S 1ST BIRTHDAY」をYouTubeで公開しました。父親から母親へ感謝のメッセージが贈られる内容で、家族の絆や感謝をテーマにした構成となっています。この動画が視聴者の共感を呼び、約700万回再生・SNSでの大量シェアを記録しました。
この事例は、直接的な商品訴求ではなく“ブランド好感度向上による購買促進”というアプローチで成功した典型例です。
【旅行】H.I.S|Instagram「タビジョ」で141万件超のUGC拡散
H.I.Sは、若年層女性をターゲットにしたInstagramアカウント「タビジョ」を開設し、同時に「#タビジョ」というハッシュタグキャンペーンを展開しました。この施策では、旅行先で撮影した写真に「#タビジョ」をつけて投稿してもらう形を採用しています。その結果、投稿数は141万件以上に達し、アカウントフォロワー数も8.6万人超を記録しました。
「私も旅行して投稿したい」と思わせる魅力的な世界観設計により、旅行とSNS映え欲求を自然に掛け合わせた好例です。
【スマホアプリアプリ】ブシロード|「#バンドリノート」で話題化
株式会社ブシロードは、メインターゲットである 中高生層への認知拡大 を狙い、学校現場で配布される学習ノートを広告媒体として活用するプロモーションを実施しました。制作したノートには、同社が展開するスマートフォン向けゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』の世界観に合わせたメッセージや案内を掲載しました。その結果、ノートをきっかけに 「#バンドリノート」 で多くのUGC(ユーザー投稿)が自発的に生まれ、4,000リツイート超えという大きな反響がありました。
リアルな場(学校)での接触体験を起点に、中高生というターゲットに対して、「学校 × SNS」という接点設計が効果的に機能した好例です。
なぜ成功したのか?共通点から見る「バイラルの設計図」
前述でご紹介してきたバイラルマーケティングの事例は、ジャンルも業界も異なりますが、成功の成功した背景には共通点があります。ここでは、その共通点を整理しながら、バイラル施策を再現可能にするためのポイントを解説します。
人を動かす“感情のフック”活用
最初のポイントとしては、「単なる面白さ」にとどまらず、人の心が動く仕掛けがしっかり組み込まれていることです。
- 共感:「母の日」キャンペーンや「リアルビューティー スケッチ」のように、家族愛や自己肯定感といった普遍的なテーマで自分ごと化”を促進
- 対立心:「どっち派?」という構造や投票キャンペーンを用いて、“つい参加したくなる心理”を刺激
- 楽しさ・憧れ:「タビジョ」の旅行投稿や、有名人と一緒に踊る短尺動画など、「自分もやってみたい」という憧れの気持ちをくすぐる
このように、いずれもただ投稿するのではなく、“心を動かす導線”が設計されているからこそ、投稿→シェア→話題化へとつながっているのです。
拡散を生む「構造」の設計
続いて、成功事例にはすべてSNS上で拡散されやすい構造設計がありました。感情が動いても、「拡散する構造」がなければ広がりません。
- シェアのしやすさ::短尺動画や縦型コンテンツ、対立構造やハッシュタグ活用など、SNSの仕様に合わせた設計
- UGC誘導::「#タビジョ」のように「自分も投稿できる」「参加すると抽選がある」といったユーザー参加の動機付けが巧み
- 家庭・友人間での話題化::「母への感謝」「どっち派?」など“普段の会話に持ち出しやすいテーマ”が採用されている
といった、「感情を動かす+拡散される理由を作る」の組み合わせで、偶然ではない戦略的なバイラルが実現しています。
「成果の掛け算」で施策効果を判断
ここまで、成功事例の共通点から”設計”や”構造”を見てきましたが、感情を動かし、拡散の構造を設計しても、それが本当に成果につながったかどうかは数字でしか判断できません。そして、その指標においては“成果の掛け算”の視点をもつことが重要です。単純な数値だけでは見えない 「質」や「本当の反応」 を可視化するために、以下のような組み合わせで効果を捉えましょう。
成果の掛け算・例
- UGC数 × 平均エンゲージメント率
→ 「どれだけ拡散され、その投稿にどれだけ反応があったか」を定量化 - 再生完了率 × シェア数
→ 「最後まで見てもらえたか × 誰かに伝えたくなったか」でコンテンツの質を判断 - 保存数 × 遷移率(LPや資料請求など)
→ 「一時的な関心か、実際に行動につながる興味なのか」を切り分け - インプレッションあたりのコメント率
→ 単なる視認数で満足せず、「語りたくなる価値があるか」まで評価する
単一の成果ではなく、“反応の質を多角的に見る”ことが、次の打ち手を考えるために不可欠です。バイラルを「再現可能な成果」として活用していくためにも、この掛け算視点をぜひ取り入れてみてください。
まとめ|バイラルマーケティングを成果につなげるために
こまでお伝えしてきたように、バイラルマーケティングで成果を出すためには、 以下要素が不可欠です。
- 感情フック × 拡散構造 = バイラルの核
- 成果は“掛け算”で多角的に評価することが成功の再現性を高める
SNSを活用したプロモーションが一般化し、成果が見えづらくなっている今こそ、“設計された共感”によって「伝わるマーケティング」を仕掛けていくことが重要です。
若年層にバイラル施策で成果を出すには?
前途した内容に加え、ターゲットが子ども・学生・ファミリー層の場合は、SNSだけで完結させず、日常生活の中で自然に話題にのぼる“リアルな接点づくり”が重要になります。特にこの層では、学校や家庭、友達同士の会話がきっかけとなって認知が広がり、自発的に発信されるUGCへとつながっていきます。
そこで、株式会社スフレが提供している 「応援ノート」 では、学校で配布される学習ノートを通じて 企業メッセージと子どもたちの日常がつながる接点 をつくり出します。ノートは授業や家庭学習で使用され、視認性が高いからこそ、自然と家族や友達との会話にのぼりやすく、結果として口コミやUGCの広がりを生み出す仕組みです。SNSだけに頼らず、リアルな生活の中から生まれる“会話のきっかけ”をつくることで、より確実に「伝わる・広がる」バイラル施策を実現しませんか?
応援ノートに関する資料はこちらからご確認いただけます。
