
品川リフラ株式会社様
「見えない基盤技術」を地域の学びに変える。工場周辺ブランディングを両立した教育支援事例

| クライアント名 | 品川リフラ株式会社 (2025年10月 創業150周年を機に「品川リフラクトリーズ株式会社」より社名変更) |
| ターゲット | 小学生(3〜6年生) |
| 配布部数 | 15,000部 |
| 配布エリア | 工場・事業所周辺エリア(地域密着型) |
| 学びのテーマ | 社会を陰で支える基盤技術・ものづくり教育(社会科・理科・歴史・キャリア教育連動) |
| ノート仕様 | 自学自習用・方眼ノート(クイズ・解説・デジタル導線付き) |
課題と導入背景
1. 創業150周年を機とした「次世代育成」と「地域社会への還元」
創業150周年の歴史的節目を迎えた品川リフラ様では、特設Webサイト(https://150-years.shinagawa.co.jp/ )等でも紹介されている通り、長年事業を支えてくれた地域社会への還元と次世代育成を目的とした様々な記念施策を展開されています。その一環として、学研『まんがでよくわかるシリーズ』における『耐火物のひみつ』の発行とともに、工場周辺の小中学生へ向けた直接的な教育支援アプローチが模索されていました。
2. 「縁の下の力持ち」企業だからこそ求められる、地域内でのブランド浸透
耐火物は製鉄所やごみ焼却炉、セメント工場、ガラス工場など、生活のあらゆる場面を裏側から支える素材でありながら、一般消費者が製品として直接目にすることはほとんどありません。工場周辺に暮らす住民や、将来の採用対象ともなり得る地域の子どもたちに向けて、「この工場が何をつくり、なぜこの地域に必要な存在なのか」を実感してもらう機会をいかに創出するかが課題でした。
3. 工場周辺住民・社員ファミリーとの深い信頼関係(エンゲージメント)構築
工場や事業所が立地する地域社会において、「近隣にある会社がどのような社会的貢献を果たしているのか」を正しく知ってもらうことは、地域共生のみならず社員の誇りや採用基盤の強化にも直結します。一過性の広告ではなく、教育現場や家庭で長く手元に残り、信頼と好意度を育む発信手法として「学校配布型メディア」が選ばれました。
学びの編集プロセス
1. 専門知見を、教科横断の「学びの問い」へ徹底翻訳
1500〜1800℃という高温科学(理科)から、岡山県の産業集積(社会・地理)、「煉瓦」の正しい漢字表記(国語)、渋沢栄一と反射炉づくりの関わり(キャリア教育・道徳)まで、企業の製品説明色を一切排し、各教科に自然接続する客観的な事実・データへと再編集されています。
2. 「毎日開きたくなる」方眼ノート×クイズという仕様設計
各見開きは方眼ページ(日付記入欄付き)と、次ページのクイズ・解説がセットになった反復構造。コーポレートキャラクター「リフラくん®」が出題し、複数のキャラクターが交代で解説する構成により、正答解説が原作まんがへの再訪を自然に誘導します。配って終わりではなく、日々の自学・自習の中で”使われ続ける”設計です。
3. 学校からデジタルへ、シームレスなプロモーション導線
誌面各所に配置された二次元コードから、学研まんが文庫『耐火物のひみつ』全編や、オウンドメディア「REFRACTORIES JOURNAL」へワンタップで誘導し、単発配布で終わらない継続的な接点も構築されています。
4. 保護者を巻き込む、誠実な誌面トーン
企業ロゴやコーポレートカラーは表紙・裏表紙に控えめに配置するのみで、本文は徹底して学習教材としての体裁を貫いています。この広告色を排した編集姿勢こそが、保護者が子どもの持ち帰ったノートを見たときに抱く安心感・信頼感の土台となっています。150周年記念サイトでは、サイエンスアーティスト・市岡元気氏とのタイアップ実験動画も公開されており、まんが・動画・ノートを横断したマルチメディア展開の一環として本施策が位置づけられています。
教育現場の反響
学校・先生からの評価
- ノートの中身を拝見し、内容が非常に充実していて驚きました。岡山県が耐火物生産日本一であることなど地域に関する学びにつながるため、学校集会で教職員間に共有し、児童にも紹介する予定です。
- れんがができる過程が詳しく出ていて、ちょうど学習する予定の単元なのですごく参考になります。この地域はれんが製造が盛んなので、身近に感じて地元のことも良く知ることができます。
- 学びの要素がしっかり掲載された良いノートなので、有効活用の方法について担任間で相談中です。各ページのクイズも大変面白く、素敵なノートをありがとうございました。
児童・ご家庭でのブランド受容
ノートが手渡された瞬間から子どもたちの目が輝き、品川リフラ様という企業と地域産業に対する強い親近感と高いエンゲージメントが醸成されました。
ビジネス・マーケティング成果
1. 工場周辺エリアにおける地域密着型コーポレートブランディングの達成
事業所・工場周辺の学校へピンポイントで配布したことで、企業理念や事業の社会的価値を地域住民へダイレクトに浸透させ、地域共生の基盤を強固に築きました。
2. 150周年ストーリー全体を強力に後押しするコンテンツ資産
150周年記念サイトで紹介されているとおり、本ノートはひみつシリーズの寄贈や周年動画、タイアップ企画と並ぶ「周年施策」の中核として位置づけられています。学校教育という文脈で企業の歴史・技術を語ることは、株主・取引先向けのIR発信とは一線を画す角度から「150年、熱中。」というスローガンに血の通ったストーリーを与え、次世代の採用ブランディングや地域社会との関係構築にも大きな波及効果をもたらす取り組みとなっています。
本事例のまとめ・他業界への応用ポイント
- 成功の鍵:
本事例の本質は、「専門性の高いBtoB技術」を「学校教育の教科に接続する客観的な学びの問い」へと徹底的に編集し直した点にあります。広告色を排し、クイズ×方眼ノートという反復利用される仕様に落とし込んだことで、一過性の配布物ではなく、児童が日々の学習で繰り返し手に取る教材として機能させています。さらに、まんが・動画・ノート・オウンドメディアを横断した二次元コード導線により、学校という一つの接点を家庭・デジタルへと拡張し、150周年という企業ストーリー全体の中に自然に組み込んだ点も、設計の巧みさといえるでしょう。
- 他業界への応用:
- 日用品・食品メーカー:原材料の産地や製造工程、賞味期限の科学的根拠などを「理科・社会の問い」に変換し、給食・家庭科と連動した学びのノートへ。
- 製薬・化学メーカー:薬や化学製品が生活のどこで役立っているかを、実験的な切り口(温度・反応・安全性)でクイズ化。
- 住宅・インフラ企業:耐震・断熱・水道といった「見えないが暮らしを支える技術」というテーマ性は、本事例の耐火物と構造的に極めて近く、そのまま応用可能です。
- 地域金融機関・エネルギー企業:地域経済やライフラインを支える存在として、地元小学校区を対象にした地域限定配布モデルが有効です。
いずれの業界でも共通するのは、「自社の専門知見の中に、すでに教科書に接続できる客観的な事実・数字・歴史が眠っている」という視点です。それを見つけ出し、子どもの学びの言葉へと翻訳するプロセスこそが、学校メディアならではの、保護者から深い共感と信頼を得る発信手法といえます。


