企業の存続や成長には、新規顧客層の獲得が不可欠です。特に、老舗企業では、消費者の年齢層が上がり売上減少が懸念される中で、若年層(y世代〜Z世代:15〜34歳)の獲得を目指す企業が増えてきています。
本記事では、主にZ世代をターゲットにした成功事例をもとに、老舗企業が採用した若年層向けマーケティング戦略や実践方法をご紹介します。

老舗企業のZ世代マーケティングが必要な背景
株式会社帝国データバンクの調査では、創業・設立100年以上の「老舗企業」の倒産件数は、2024年上半期に過去最多の74件に達しました。経済情勢の急激な変化や後継者不足、従業員の高齢化などの影響が背景にあり、多くの老舗企業が市場を退く決断をしています。
(株式会社帝国データバンク「100年経営「老舗企業」の倒産動向調査(2024年上半期)」)
また、消費者層においても顧客の高齢化が進み、企業の安定した収益の実現が危ぶまれています。そのため、企業は若年層をターゲットにした新規顧客開拓を進める必要があります。若年層へ注力した取り組みは、売上の拡大にとどまらず、若手人材の獲得や企業のイメージ刷新にもつながります。
若年層向けブランドの若返り 成功事例
株式会社三越伊勢丹ホールディングス|SNS活用
百貨店業界大手の三越伊勢丹ホールディングスは、2023年3月期に過去最高の総売上高3276億円を記録しました。この売上を達成した背景には、これまでSNS運用やオウンドメディアを活用していたものの、情報発信が一方的なものであったため、顧客との双方向の関係が薄いという課題がありました。そこで、インフルエンサーとのタイアップキャンペーンを行ったことで、SNS上で顧客とのコミュニケーションが増え、コンテンツの質も向上しました。これにより、新規顧客への情報提供や既存顧客の関心を継続的に引きつけ、結果的にEC売上の増加につながりました。
株式会社高島屋|買い物積み立てサービス
高島屋は2022年6月8日より、住信SBIネット銀行と提携して「高島屋ネオバンク」をスタートしました。この「高島屋ネオバンク」では、百貨店で以前から提供されてきた「友の会」を「スゴ積み*」として展開し、スマホ1台で金融と買い物が体験できるといった若い世代の需要を取り込みました。その結果、2023年には若い世代や男性顧客の開拓、平均積立額のアップなどの成果がありました。
スゴ積み:「髙島屋のすごい積立」の略。 毎月一定額を積み立てることで、通常の積立額にボーナスが加わり、1年後にさらにお得に商品を購入できる仕組み。
株式会社銀座千疋屋|SNS活用
高級果物店の銀座千疋屋は、顧客がインスタグラムなどに投稿した贈答品やスイーツなどの自社商品写真を、ECサイトを兼ねたホームページ上で紹介する取り組みを行いました。
閲覧者がおいしそうに感じた写真をクリックすると、商品購入のページに移る仕組みになっており、若い顧客の行動に合わせた戦略を取り込みました。その結果、2017年から2019年にかけてSNS経由でのアクセス数が18倍に増加し、若年層への認知拡大に成功しました。
Z世代マーケティングの実践ポイント
今回はZ世代に焦点を絞り、実践的な戦略をいくつかの手法に分けてご紹介します。もし、実施していない施策があればぜひ参考にしてみてください。
デジタルマーケティングの活用
SNS広告とインフルエンサー活用
SNSは若年層が集まる主要なプラットフォームであり、新規顧客獲得には必須です。特にInstagramやTikTokなどでターゲット層に合わせた広告を出稿したり、インフルエンサーとのコラボレーションをすることで、高い効果を得られます。比較的手軽に始められ、キャンペーンごとの効果をすぐに確認できるため、柔軟な運用が可能です。
コンテンツマーケティング
ターゲット層に響く価値のあるコンテンツを提供することで、信頼を築き、エンゲージメントを高めることができます。例えば、若年層が興味を示すブログ記事や動画コンテンツを制作し、SNSで拡散することが有効です。SEO効果もあり、長期的に信頼関係を築ける点がコンテンツマーケティングの強みです。
SEO戦略によるオーガニック集客
検索エンジンの最適化も、Z世代マーケティングとして効果的です。若年層が検索するキーワードを分析し、それに基づいてコンテンツを制作することで、自然検索からの集客を増加させることができます。SEOは長期的な成果を生み出し、広告費用を抑えつつ安定した集客を実現する手法として有効です。
パーソナライズド広告とデータ活用
GoogleやSNSの広告配信機能を活用し、ユーザーの行動データをもとにターゲット広告を展開します。過去の購買履歴や関心に基づいて広告をパーソナライズすることで、ターゲット層に対する関連性を高め、コンバージョン率を向上させることが可能です。この方法により、予算を効率的に使いつつ高い成果を得られます。
クロスチャネル戦略(オンラインとオフラインの活用)
デジタルキャンペーンと実店舗での活動を組み合わせることで、顧客接点を増やし、より多くの新規顧客を獲得できます。例えば、オンラインでの告知から実店舗での体験イベントやワークショップに誘導することが効果的です。オンラインとオフラインの活動を連携させることで、販売促進がより効果的に行えます。
リターゲティング広告の活用
一度サイトを訪問して購入に至らなかったユーザーに対し、リターゲティング広告を活用して再度アプローチする方法です。これにより、興味を持った層を逃さず、最適なタイミングでサイト訪問者に対して再度購入を促すことができ、コンバージョン率の向上が期待できます。
まとめ
上記のような成功事例からわかるように、若年層であるZ世代マーケティング戦略は企業の存続や成長へつながる鍵になります。老舗企業にとって、これまで培ってきたブランド力や商品に対する信頼性は大きな強みです。これまで積み上げた実績に加え、新たな若年層へのアプローチが成功すれば、企業はさらなる成長と持続可能な競争力を維持できるでしょう。もし、まだ実施していない場合は、ぜひ若年層向けのアプローチ強化を検討してみてください。
また、株式会社スフレでは、園児から大学生、保護者層に向けたマーケティング支援を行っております。これまでに累計1000万人の子どもたちへリーチしてきたノウハウを活かし、メディアの選定や企画提案、施策の実施まで一貫してサポートしておりますので、若年層向けにマーケティング強化をご検討されている方はぜひお気軽にご相談ください。
