年々少子化が深刻化し、大学の存続が危ぶまれる状況下において入学者を増やすためには、効果的な広報戦略が欠かせません。しかし、広報活動を行っているにもかかわらず、効果が出ていないと感じる大学も多いのではないでしょうか。
本記事では、大学広報において陥りがちな失敗事例と、それに対する実践的な対策を紹介します。

大学広報戦略でよくある失敗事例
1.ターゲットが曖昧
広報活動を成功させるためには、まず「誰に伝えたいのか」を明確にし、そのニーズや関心に合ったメッセージを発信することが不可欠です。ターゲットが不明確なまま広報活動を行うと、メッセージが抽象的になり、訴求力が薄れてしまいます。例えば、特定の学部や学科に対する関心が薄いターゲットに対して、全体的な広報を行っても効果が上がりづらくなります。
大学広報を成功させるためには、まずターゲット層を具体的に設定し、ペルソナを作成することで、より効果的な広報活動が可能になります。例えば、進学を希望する学生を「地方から都心へ進学したい学生」や「●●の学問に興味がある学生」などに絞り込むことで、それぞれに合わせたメッセージやコンテンツを提供することができます。ターゲット層やペルソナは以下のような要素で作成すると、ターゲットに訴求したいメッセージや響きやすいメッセージがクリアになります。
<ペルソナ1>
名前:田中 健太
年齢:17歳(高校2年生)
興味のある学問・大学で実現したいこと:
多様な学生生活を楽しみたい。学業だけでなくサークル活動や留学にも興味がある。
響きやすいメッセージ:
・学内のイベントやサークル活動
・留学プログラムや国際交流のイベント情報
・キャンパスの雰囲気や学生同士のつながりなど
<ペルソナ2>
名前:佐藤 美咲
年齢:17歳(高校2年生)
興味のある学問・大学で実現したいこと:
将来は上場企業で働くことを目指しているため、就職に強い大学に進学したい。
響きやすいメッセージ:
・卒業生の就職先やキャリアパス
・インターンシップや企業連携プログラム
・就職率や強いネットワークのある業界など
※ペルソナで記載している氏名は仮名です。
2.メッセージが抽象的で分かりにくい
大学の特色や強みが抽象的な表現だと、具体的なイメージが湧かず、ターゲット層の共感を得にくくなります。学生に届けるメッセージは、具体的な体験や成果に基づいた情報でなければなりません。例えば、単に「就職に強い」だけでは説得力に欠け、学生にとっての具体的なメリットが伝わりません。
学生に響くメッセージは具体的な事例を用いることが重要です。例えば、学生や卒業生の体験談や成功事例を取り入れ、実際のデータや数字を使用することで説得力が増します。例えば、卒業生が就職した企業の業種や規模、就職活動のスケジュールやそれに対する大学のサポート内容を紹介することで、「就職に強い」というメッセージに説得力を持たせることができます。
3.チャネル選択が不十分
ターゲット層によって、最も効果的なメディアやコンテンツ形式は異なります。そのため、大学広報活動においてどのチャネルを選ぶかは非常に重要です。例えば、若い世代にはSNSを活用したビジュアル重視のコンテンツが効果的です。一方、親世代には詳細な入試情報や学費情報を提供することが求められます。そのため、チャネル選択が不十分だと、メッセージがターゲットに届かず、広告効果が低減してしまいます。
効果的なアプローチを行うためには、チャネルごとの特性を理解し、それに合わせたコンテンツを制作することが大切です。例えば、中高生向けには視覚的に訴求できるSNS(InstagramやTikTok、大学の魅力をビジュアルで伝えることが効果的です。さらに、SNSのコメントやアンケート結果を基にコンテンツを絞り込み、ターゲットに最適な情報を提供することで、より効果的なアプローチが可能になります。
4.オンラインとオフラインの連携不足
オンラインとオフラインのアクションが片方に偏ると、学生へのアプローチが漏れ、重要な情報が届かない可能性があります。また、SNSでは「最新設備やキャンパスライフの充実」を強調する一方、オフラインでは「学問の深さや研究成果」をアピールするなど、オンラインとオフラインでメッセージが一致しない場合、大学のブランドイメージや信頼性に疑問を持たれ、関心を引くことが難しくなります。
そのため、大学広報を成功させるためには、オンラインとオフラインをうまく連携させることが重要です。例えば、教育機関を通じた紙媒体でのアプローチとSNS双方の情報発信から、オープンキャンパスや学園祭の集客を行います。そして、イベント内でSNSのフォローやLINE登録を促し、SNSを通じて大学情報を発信していくといった形での連携方法や、オンラインでオープンキャンパスの事前登録や詳細情報を提供し、実際のイベントで個別相談会や講義の疑似体験を行うなどの連携方法があります。
このようなオンラインとオフラインの連携は、アプローチできる学生を取りこぼすことなく、一貫したメッセージを提供することができるため、学生の関心を高め、より強い印象を与えることができます。
まとめ
「現在の大学広報活動では効果が上がらない」「どうやってターゲットに響くメッセージを発信すれば良いのか分からない」とお悩みのご担当者様にとってこれらの課題は、大学の運営において大きな悩みの種ではないでしょうか。しかし、前述のような対策を実行することで、大学の魅力をしっかり伝え、入学者数を増加させることは十分に可能です。ぜひ、現在の広報活動の見直しや今後の戦略立案の際にお役立てください。
もし、現在行っている広報活動が思うように成果を上げていないと感じている場合、専門家のサポートを受けることをお勧めします。
例えば、株式会社スフレが提供する「応援ノート」は、大学情報を学習ノートに掲載し、教育機関を通じて子どもたちへ配布することで大学広報を支援しています。オープンキャンパスの集客や入学者募集に関する多くの成功事例があるため、ターゲット層を明確にし、どのようなメッセージを発信すべきか迷っている方に、最適な広報戦略をご提案します。
ご興味がある方は、ぜひ大学広報成功事例集をチェックしてみてください。
