共働きの増加やテクノロジーの進化など様々な時代背景が、子育て世帯の価値観や生活スタイルに影響を与えています。主に保護者が購入決定権を持つ園児や小学生の子どもがいる20代~40代の子育て世帯では、消費行動にも変化がみられるようになりました。保護者の購買行動を理解し、購入や集客のチャンスにつなげるためには、子育て世帯に響くマーケティング戦略が必要です。
本記事では、子育て世帯における消費行動の特徴をおさえた最新のマーケティングポイントをご紹介します。
子育て世帯の消費行動トレンド
1.SNSによる情報収集やオンラインショッピングの増加
2014年ごろから、スマートフォンやタブレットが日常生活に深く浸透し、SNSによる育児・教育に関する情報収集やオンラインショッピングの利用が急増しています。
講談社メディア・コミュニティ・ラボ(MCL)が2024年に実施した「with class」の読者である30代~40代の子育てママ層への調査結果では、情報収集源として99%の子育てママがInstagramを利用していることが分かりました。Instagramを利用している子育てママは、ママインフルエンサーや保育士・教育評論家などのアカウントをフォローし、生活や子育てに役立てています。
with class読者の情報収集行動(資料の一部を抜粋)
2.ECとサブスクリプションサービスの台頭
現在、夫婦で働く共働きはますます増え、夫婦がいる世帯全体の約7割を占めています。中でも、子育て世帯では時間と労力を節約することができるECやサブスクリプションが多くの家庭に普及しています。
ベビカム株式会社による2023年に実施された「サブスクに関する意識調査」では、子育てママの中で38.4%の人が「AmazonプライムなどのEC」のサブスクを利用していることが分かりました。また、ECや動画配信などのサブスクに続き「食材などの宅配」や「ウォーターサーバーやペットボトルの水」などの利用率も高いことから家庭での生活に密接に関わるサービスの需要が高いと考えられます。
『サブスクに関する意識調査』
3.健康とエコ意識の向上
持続可能な社会への関心の高まりつつある現在、子育て世帯においても有機食品やサステナブル製品(布おむつ、環境負荷を軽減する潜在)の需要が高まっています。
例えば、令和4年に農林水産省による有機食品の購入状況においては、20代~60代の小学生の子どもを持つ男性保護者のなかでも「20代の小学生の子どもを持つ男性保護者」の購入割合が多く多いことが分かりました。また、「20代~40代の小学生の子どもをもつ保護者」男女ともに「現在購入していないが、購入したいと思う」という回答が多く、子育て世帯の保護者は、有機食品に対して関心を寄せている消費者が多いと考えられます。
性別、年代および同居する小学生以下の子どもの有無別に有機食品の購入状況
子育て世帯向けデジタルマーケティング戦略
1.SNSマーケティングの戦略ポイント
SNSを活用したマーケティング手法では、発信するコンテンツからUGCの誘発やレビュー投稿を促進させることが効果的です。Instagramやyoutube、XなどのSNSプラットフォームと子育て世帯に人気のインフルエンサーを起用することで 消費活動を促すことができます。
成功事例:メリーズうさちゃんARフレームキャンペーン|花王
花王では、ARフレームを使って子どもを撮影し、写真にハッシュタグつきでInstagramに投稿してもらうという施策を行っています。「誰かに見てもらいたくなる」コンテンツでUGCを誘発し、紹介されたUGCのインフルエンサーや利用者によるレビューから購買の意思決定をサポートしています。
2.Eコマース戦略のポイント
顧客情報を分析し、1人1人の趣味やニーズに合った情報提供も有効な手法です。
例えば、会員カードやポイントカードから年齢、性別、これまでの購入時期、購入した商品などを追跡し、適切なタイミングで新商品の案内やキャンペーンの告知をします。
反対に、商品やサービスの購入前に、いくつか質問に回答してもらい、その内容に応じた商品やサービスをお勧めする手法もあります。どちらも人を軸にしたデータ分析を行い、消費者1人1人カスタマイズされた情報を提供することで消費行動を促すことができます。
成功事例:「おやつ定期便サービス」|snaq.me(スナックミー)
株式会社スナックミ―では、「りっすのおやつカウンター」という診断を受けることで、自分好みにパーソナライズされたお菓子が自宅に届く、お菓子の定期便サービスを提供しています。購入後も、マイページから食べたおやつの評価や食べてみたいおやつにハートをつけ、自分好みの定期便にカスタマイズできるような仕組みにすることで継続的な顧客の獲得を促しています。
3.エシカル消費の促進
エシカル消費とは、より良い社会に向け、人・社会・地域・環境に配慮した倫理的な消費行動のことです。オーガニック食品や無添加商品を選ぶことによるメリットや、商品の製造において環境に配慮した製造過程であることなどをアピールし、子育て世帯の理解を得ることで購買を促進します。
例えば、無添加食品を選ぶことで、「腸内環境が良くなり肌荒れ改善の効果がある」「無添加生活を意識することで、動物実験が必用がなくなり動物への負担が減るため、アニマルウェルフェアへの配慮が可能になる」など、消費者に直接還元されるメリットや社会貢献にもつながるメッセージがあると興味をひきやすくなります。
ここまでは、前述した3つのトレンド【デジタルシフト・Eコマース・健康やエコ意識】に対応するデジタルマーケティング施策をご紹介しました。次は、子育て世帯へのマーケティングを成功させるために必要な「子ども」へのマーケティング戦略をご紹介します。
教育現場と連携したマーケティング施策
教育支援型マーケティングの効果
子どもに直接アプローチできる方法として、教育現場で活用できる販促ツールが以下の点で注目されています。その代表例として、学習ノートを活用したマーケティング施策の効果をご紹介します。
- 若年層へのリーチと認知拡大
Instagram、TikTok、YouTube等のSNSでは年齢制限が設けられているため、デジタルでの訴求が難しい園児や小学生に対して、直接アプローチができる販促ツールとして注目されています。また、この年齢層は親子でのコミュニケーションが活発に行われやすく、保護者にも届きやすいです。
中高生などスマートフォンの所持率が高い年齢層に対しては、教育現場で活用されている内容が、SNSや口コミを通じて広がることで自発的なプロモーション効果を発揮することができます。 - ブランドの社会的信頼とイメージの向上
教育現場で活用されることで、「社会貢献企業」というブランドイメージも構築され、消費者が企業の商品やサービスを把握しやすくなります。また、教育現場からの評価が高まることで、保護者層のイメージUPにもつながります。 - 教育機関との協業による信頼構築
教材提供やイベント協賛などの取り組みを継続することで、企業の存在感をアピールすることができます。また、教育現場からのフィードバックで商品サービスの改善のヒントを得られる可能性があります。 - 教育コンテンツの活用によるプロモーション強化
知識やスキルの提供で、教育分野での専門性をアピールする機会を創出します。
具体的な施策事例と成果
- ブシロード様
ブシロード様では、スマートフォン向けアプリゲームの広告入り学習ノート「応援ノート」を全国の中高生に配布しました。Twitterでは、中高生の反応として「#バンドリノート」というハッシュタグでの投稿が自発的にうまれ、反応の多いものでは4,000リツイートを超える反響がありました。 - キーコーヒー様
キーコーヒー様では、若年層にコーヒーに興味を持ってもらうための取り組みとして「応援ノート」を小学生5・6年生の子どもへ配布しました。若年層が将来的にコーヒーを好きになってもらうための取り組みとして、SDGsを切り口にコーヒーの魅力を伝えています。
成功するための実践ポイント
子育て世帯の消費行動は、新しいトレンドによって変化するため、企業は消費行動の分析とそれに対応するマーケティング戦略が必用です。本記事では、2024年時点でのトレンドを活用したマーケティング戦略をご紹介しました。これから子育て世帯向けの施策を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
また、教育現場と連携したマーケティング施策を検討するのであれば、スフレの「応援ノート」という選択もあります。「応援ノート」は、子どもや学生を対象に無料ノートを配布するサービスです。ノートの中面には企業のコンテンツやメッセージを載せることができ、子どもや学生など若年層に対してダイレクトにアプローチが可能です。また、子どもを介して保護者層へもアプローチが可能です。子どもや子育て世帯向けのマーケティングでお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。