総務省が発表した2024年の人口移動報告によると、31都道府県で人の流出が増加し、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)への転入が12万人という数字から、都心へ人が集中していることが分かりました。この現状から、日本の地方企業が抱える課題の一つとして、優秀な若手人材の確保と定着があります。
そのため、地元の人々をターゲットにしたUターンや、他地域からのIターン採用が今後の鍵となります。本記事では、UIターンを取り入れた新卒採用戦略を実践的なステップで紹介し、地方企業がどのようにして優秀な人材を引きつけ、定着させるかを考えていきます。
*Uターン…地方で生まれ育った人が都心の学校へ進学や企業へ就職し、卒業や転職を機に出身地に戻って就職すること。
Iターン…出身地ではない場所に移住して働くこと。

若年層の地方企業への就職の可能性
まず、都市部に住む若者にとって地方企業への就職の可能性が全くないわけではありません。Z世代向けの企画・マーケティングを行う『僕と私と株式会社』は、「若者」と「企業」、そして「地方」の成長を目指す『一般社団法人VENTURE FOR JAPAN』と共同で全国のZ世代/ミレニアル世代601名を対象に、地元愛に関する意識調査を実施しました。この調査によると、Z世代(18〜26歳)の約52%が「地元で働きたい(いつか働いてみたい)」と答えています。愛着があるから地元に戻りたいという声や、都市部での生活の高コスト、家族と近い距離で生活したいという思いが、この結果につながっています。そのため、Z世代の地方企業への就職の可能性は、まだ十分に希望があると言えます。
(出典:僕と私と株式会社「Z世代/ミレニアル世代に聞いた!地元愛に関する意識調査」2024年)
UIターンの新卒採用を促進するため実践ステップ
では、実際に地元や地方への就職を促すために、企業はどのような活動をすればよいのでしょうか。ここからは、UIターンによる新卒採用を促す実践ステップをご紹介します。
1.地元出身者が戻りたくなる・地方へ行きたくなる理由を理解する
UIターンを選ぶ若者には、家族との絆や地域社会への貢献、自然豊かな生活環境が大きな魅力となります。こうしたニーズを理解し、それに応じた発信を行うことが、UIターン採用を成功に導く第一歩です。地域の発展や貢献を重視する若者には、企業としての社会貢献や地域活性化への取り組みを強調すると効果的です。
2.地方企業ならではの魅力を打ち出す
地方企業の強みは「地域密着型」である点です。アットホームな社風や地域貢献活動を前面に押し出すことで、地元や地方に関心のある学生にとって魅力的な職場となります。また、福利厚生やワークライフバランスの向上も重要なポイントです。若年層が求める柔軟な働き方や充実した生活環境を提供する企業は、他企業に差をつけることができます。
3.オンライン・オフラインでの情報発信
SNS(X、Instagram、Tiktok)を活用して企業のリアルな情報を発信しましょう。日常的な業務や社員の声を紹介することで、企業の雰囲気を伝え、若者の関心を引きます。また、オンラインセミナーやウェビナーを定期開催することで、都心の学生にも企業の魅力を遠隔で届けることができます。
新卒採用数や早期離職率低下のための具体的施策
新卒採用者数の増加に向けた施策
大学との連携強化:
地元大学や都市部の大学との連携を強化し、求人情報を早期に届けることが重要です。キャリアセンターとの協力や共同セミナー、合同企業説明会の開催などで、企業の認知度を高めることができます。
学生向けインターンシップや職場体験
インターンシップを通じて、実際の業務や職場の雰囲気を体験してもらうことが、応募意欲を高める鍵となります。長期インターンシッププログラムや、実務に即した体験を提供することが、新卒採用数の増加と早期離職率の低減に導きます。
早期からのリクルーティング活動
就職活動が早期化している今、早期からのリクルーティング活動が重要です。都心の就職イベントへの参加や、オンラインでの企業説明会を定期的に実施することで、地方企業の認知度を高めることができます。また、中学生や高校生などの学生に対する活動も将来的な人材育成へつながります。
自治体や団体との協力
地域の商工会や行政との連携を深め、UIターン就職支援を強化する施策も有効です。地元求職者向けのイベントやセミナーを開催することで、地元出身者へのアプローチを強化できます。
定着率を上げるための施策
せっかく採用した人材がすぐに辞めてしまっては意味がありません。特に、近年は転職が当たり前の時代になっているため、新卒採用だけでなく定着率を上げるために以下のような取り組みも積極的に行いましょう。
離職の原因の把握と改善策の立案
社員が退職を決意した原因を把握し、改善策を講じることが定着率を高めるために重要です。定期的な面談やアンケートを通じて、社員の不満を把握し、改善に努めましょう。
ワークライフバランスや福利厚生の改善
若年層が企業選びで重視するポイントは、働きやすさや福利厚生です。柔軟な勤務体制や育児・介護支援、企業独自の福利厚生を提供することで、社員の満足度と定着率を向上させることができます。実際に、株式会社ワンキャリアによる25年卒の就職活動に関するアンケートでは、「企業選びで最も重視すること」として、「企業内の雰囲気がいい」「ワーク・ライフ・バランス」など、働きやすさが重視されていることが分かりました。
キャリアパスの明確化やスキルアップ支援
明確なキャリアパスを示し、昇進や昇給の基準を明確にすることで、社員のモチベーションを高めます。また、スキルアップのための研修や資格取得支援を強化することで、社員の成長意欲を引き出し、離職率の低下につなげることができます。
実践的な人材採用戦略の実行へ
地方企業がUIターンの採用を成功させるためには、企業文化の改善や地域社会との連携、そして積極的な情報発信が不可欠です。「地元へ戻りたい」「地方に住みたい」と思う環境を整え、地域活性化と企業成長を両立させましょう。
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